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最後の晩餐(2012年9月16日〜22日)

今回の主目的は、わたしが会員でもあるヨーロッパ股関節学会での発表ですが、学会前の9月17日(月)、スペイン・バルセロナ大学病院を訪れました。900ベッドの病院で、このうち整形外科は70〜80ベッドです。写真1は整形外科主任教授Dr.Josep Riba Ferretです。


写真1
彼に挨拶した後さっそく手術室に向かいました。手術室は1室のみでさほど広くない部屋でした。


写真2

古い小笠原クリニック札幌病院の手術室よりも小さく、この1室で全ての股関節の手術を行うとのことでした。ちなみに人工股関節置換術は年間250件で再置換術が80件です。
股関節グループのチーフDr.Xavier Gallart Castanyが執刀する再置換術に立ち会ったのですが、写真3のレントゲンで明らかなように手術する左側(向かって右側)のカップがゆるんで骨盤腔内に移動しています。


写真3

さらに悪いことにポリエチレンカップの表面にある金属製メッシュが外腸骨動静脈にあたっています。


写真4

Dr. Gallartの術前計画では血管外科医が緩んだカップと血管を剥離(剥がす)した後、カップを抜去し、患者を側臥位にして大腿骨ステムを抜去し再置換するというものでした。
しかしながら、メッシュの先端が外腸骨動静脈に突き刺さっていて剥離できず、動脈は切断後人工血管でつなぎ、静脈は切断した後結紮しました。ここでDr.Gallartがカップを抜去しようとしたのですができずに、結局術創を閉鎖し側臥位にしてから人工関節を抜去することになりました。

Dr.Gallartが気落ちしているのはよく分かり、わたしに向かって「8日前から考えていたのに計画どおりにいかなかった」と疲れ切った口調で話しました。
何と言って慰めていいかわからないので、とりあえず「難しい症例ですから」と言いました(4日後ミラノの学会で彼に会った時に、あの症例はどうなったと尋ねるとパーフェクトだ、すべて順調だと明るく言っていましたから、その後うまくいったのでしょう)。

この症例はわたしにとってとても良い経験であり、術前計画の重要性はもちろんチーム医療、計画どおりに行かない場合の二の矢、三の矢の計画がいかに大事か実感しました。
時間の関係でわたしはここで手術室を離れバルセロナ大学病院を案内してもらいました。案内役はDr.Jenaroというバルセロナ大学医学部卒後10年目くらいの医師です。


写真5

病院の建物は140年前に造られ増築スペースがないので、天井の高い1階を1階と2階に分けたり、中庭に医学部の建物を造ったりしているそうです。その医学部の中庭が写真6です。


写真6

脇にカフェテリアがあり昼食中でした。100年以上の伝統を感じさせる内部の床や柱は見事なものでした。


写真7

現在医学部生の80%が女性とのことです。スペインでは医療に関して個人負担はありませんが、手術までの待ち時間が数カ月と長いので、すぐに手術を受けたい人、個室に入りたい人は、全額個人負担(といっても自分が加入している民間保険会社が支払うのでしょうが)のプライベート・ベッドを使用します。専用フロアに16床ありました。


写真8

小笠原クリニック札幌病院の個室を想像していただければよろしいでしょう。


写真9

スペイン国王も入院したことがあるとのことでサイン入り写真が掲示されていました。


写真10

9月18日(火)にヨーロッパ股関節学会が行われるミラノに移動しました。


写真11

ミラノは3回目でした。前の2回はほとんど市内観光をしていなかったのですが、今回はドゥオモとガッレリアを見て歩き、何といってもサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会 レオナルド・ダヴィンチの「最後の晩餐」を見ることができました。


写真12 ドゥオモ

写真13 ガッレリア

写真14 「最後の晩餐」

幸い3か月前にネットでチケットを購入できたお陰です。(ご存知の方もいらっしゃると思いますがチケットの入手がとても困難でようやく取れたというのが実感です)
学会の前日19日の朝一番に入館し、既定の15分間じっくり観ました。音声ガイドによってその由来、復旧などを知ることができましたが、想像しているより色が薄く、いつの日か消えてしまうのではと思うほどです。
映画「ダヴィンチ・コード」で、さらに予約がとりにくくなったようです。ホテルの周囲を散歩しているとアパートの門にクリニックの看板がありました。


写真15

アパートの一室で診療を行っているのでしょうか? 翌20日(木)午前にわたしの口演発表がありました。


写真16

写真17

6分間の発表に2分間の質疑応答です。わたしのセッションは「脱臼と進入法」というタイトルでした。


写真18

このセッションだけでも座長はデンマークとイタリア、発表者はロシア、イラン、スイス、スゥエーデン、英国、フランス、オーストリア、そして日本からであり、活発な論議がありました。
わたしの発表には3つの質問があり(英国、タイ、おそらくイラン)、それ以外にも挙手して質問を求めている人もいました。
わたしへの質問は、インプラント設置のために特別な器具を使用しているのか?(英国)、前方脱臼が早期に起こっているのはなぜか?(イラン?)身体が小さい日本人患者の脱臼原因は体格の大きいほかの患者にもあてはまるのか?(タイ)でした。
会場は50,60名ほど入れるのですが、席はうまり立見もあって満員でした。
ヨーロッパの学会に参加して毎回思うことは、英語という言語を介して世界中の医師と話しができて情報交換ができる素晴しさです。

次回のヨーロッパ股関節学会は2014年ストックホルム(スゥエーデン)です。
一度も行ったことはありませんので、今からとても楽しみです。

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