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海外活動報告

海外活動報告

伊太利、仏蘭西病院紀行ふたたび
(2013年9月16日~20日)

9月16日から20日にわたって、イタリアのパドヴァ、トレビーソ、そしてフランスはパリの病院を視察しました。

図1

パドヴァ大学
1222年創立でイタリアでは2番目に古い大学です(最古はボローニャ大学)。有名教授として、ガリレオ(1642年没)、ダンテ(1321年没)、ペトラルカ(1374年没)、医学では近代解剖学の祖ヴェサリウス(1564年没)がいます。パドヴァという町にある大学群をパドヴァ大学というようで、整形外科は独立した建物を持っています。

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ベッド数はおよそ70で、約20名の医師と同数の研修医がいます。この病院は公立病院であり、公的保険の患者施設という位置づけで私的保険患者はおらず、主に骨折などの外傷がメインになっています。9時30分に到着すると、28歳の研修医Andrea Volpin君が1日中付きっ切りで説明してくれました。
人工股関節置換術は年間100件ほど行われており、入院費は7500ユーロ(およそ100万円)、手術まで2~3か月待ちとのことです。当日は手術がなく見学できなかったのですが、3人の医師がパワーポイントを使用してプレゼンしてくれました。パドヴァ大学は世界で初の常設解剖室(1594年)が建設されたことで有名です。写真は解剖学のRaffaele De Caro教授を訪問したときのもので手にしているプレゼントされたメダルは2011年の学会を記念して造られたものです。

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世界最古の解剖室は現存しており5ユーロで見学できます。残念ながら写真撮影禁止ですのでネットの画像を示します。
大きな部屋を想像していましたら小さくて5 m x 5 mほどでした。一番低い所にベッドが置かれ有料で解剖を見れたそうです。20時から整形外科主任教授Roberto Aldegheri先生をはじめ5名のドクターと会食しましたが、わたしには量が多くて完食できませんでした。写真はカフェが並ぶ街中の広場でAldegheri教授と撮影したものです。

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カサ・ディ・クラ病院
トレビーソ近郊にある病院です。
ここは私立病院であり私的保険患者に対して診療を行っています。
8時からCarlo Callea先生の手術を見学、参加しました。
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手術予定表をみると3件の人工膝関節、4件の人工股関節置換術が書いてあります。2つの部屋を使ってほぼ休みなく手術をこなし、午前中に手術が終了します。
皮膚切開をしてインプラントを挿入すると、あとは助手にまかせて隣の部屋で次の手術を行います。手術時間を計ると、皮膚切開から縫合が終わるまで膝で45分、股関節で35分でした。これは驚くべき早さです。通常の手術方法なのですが、別に急いでいる風もなく淡々と手術を行っています。ちなみにCallea先生は3つの病院で診療をしており、合計で年間1200件!(股関節700件、膝関節500件)の執刀をしています。
久しぶりにわたしの手術件数を上回る医師に会えました。これだけの手術数を自分ができるであろうかとかなり刺激を受けました。
Callea先生は4時半起床、6時には帰宅する毎日で、午前中に7,8件の手術を行い、午後は回診、外来とのこと、しかも年齢は67歳です!日本から来訪したということで、病院長が手術室に来て記念写真を撮りました(わたしの右隣)。

写真9:わたしの右隣

写真10

きっと病院の広報誌に掲載されるのでしょう。
モンスリー病院
パリで最初に訪問した病院です。
パリ在住の日本人の方に紹介してもらって見学することができました。
綺麗な病院で有名な建築家がデザインしたとのことです。

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病室からはエッフェル塔が見えます。
500ベッドの病院で財団法人が運営しており公的保険で治療を受けることができます。案内してくれたのはDr.Barret、泌尿器科医師です。

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ダ・ヴィンチによるロボット支援手術を年間200件行っているそうです。手術室でそのダ・ヴィンチを見ました。8月のテレビ「グッチーの今日ドキ!」で、わたしはダ・ヴィンチについてコメントしたのですが、実物を見るのはこれが初めてで、しかも手術直前であったので実際の画像もみることができました。
確かに3Dで立体的に見えます。金額は日本と同じくらいで4億円ぐらいするそうです。Dr.Barretからフランス人整形外科医師で誰を知っているかと問われましたので、何人か挙げたところ骨盤骨折で有名なLetournel先生はこの病院で勤務していたとのことで、彼の業績を表して手術室には名前が記されていました。

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アメリカン・ホスピタル
モンスリー病院の次に訪問した病院です。
この病院のホームページをご覧になるとわかりますが、日本語のサイトがあります(http://jp.american-hospital.org/)。スタッフとして日本人が勤務しており、日本人医師も在籍しています。この病院はアメリカによって承認されたヨーロッパで唯一の私立病院です。以前は私的保険のみを扱っていましたが、現在は公的保険でも診療を受けることができるそうです。今回案内してくれたのが医療コーディネーターの松下先生(東京女子医大卒)で、

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整形外科のGleizes Valery医師を紹介してくれました。
彼はほかの病院での手術を含め年間130件の人工股関節置換術を行っており、年間100件ぐらいがパリの関節外科医の平均的人工股関節手術数とのことです。わたしの手術は皮膚切開の長さが7㎝と聞くと、今日はぼくも短くして手術を行うと言って9㎝で行いました。カップは打ち込んで固定し、ステムは骨セメントを使用する方法で手術時間は1時間30分程度でした。

写真19

今回もたいへん充実した出張でした。パドヴァでは朝から夜の11時まで文字通り1日中お世話になりました。そして、ほかの医師による手術は刺激を受けるものです。帰国してからのわたし診療にはおのずと良い影響が滲み出ます。