海外活動報告
阿蘭陀事始(2018年9月20日~22日)
江戸時代、鎖国していた日本では長崎・出島に商館があったオランダが唯一の西洋への窓口でした。当時、外国語は漢文か蘭文しかなかったわけであり、オランダ語を習得する困難さは杉田玄白の「蘭学事始」に記載されています。前野良沢らと協力してオランダ語の医学書を訳して「解体新書」を世に出した時、日本の医学は飛躍的に進歩したといってよいでしょう。医学部生時代に吉村昭「冬の鷹」を読んで感動し、その時に読んだ新潮文庫版は今もわたしの書棚に並んでいます。
第13回ヨーロッパ股関節学会は、オランダのデン・ハーグで開催されました。旅行ガイドブックにはハーグと記載されていますが、英語ではザ・ハーグ、オランダ語ではデン・ハー(グ)と言います。羽田発の深夜便に乗ってフランクフルト経由でアムステルダムに到着し、車でデン・ハーグに行きました。
学会場はワールド・フォーラム・コングレス・センターです。(ヨーロッパ股関節学会の後、10月にはこの会場で第49回肺の健康世界会議が開催され、秋篠宮妃紀子様が出席されました)前回参加したのが2012年ですから6年ぶりになります。ヨーロッパ股関節学会は2年に1回開催される学会で、わたしは会員の一人です。学会で使われる言語は英語。
学会のプログラムですが、抄録はスマホやタブレットPCで読むことができます。
わたしは2日目の朝の発表でした。わたしのセッションの座長(司会)は英国人とオランダ人、演者はオランダ、アルゼンチン、スイス、ドイツからでした。
発表6分、質疑応答2分。日本人にとっては質疑応答が曲者です。本学会でも日本人の発表があったのですが、質疑応答で躓いていました。わたしの発表後、4つの質問があったのですが、そのほとんどが、なぜわたしの施設では臼蓋形成不全を持つ患者が多いのかということです。わたしの施設だけではなく、日本全体がそうなのだと答えましたが、日本以外の国では臼蓋形成不全が少ないので当然の質問になるのでしょう。
さて、デン・ハーグといえば何を連想されるでしょうか?国際司法裁判所や長崎ではない本物のハウステンボス宮殿がありますが、何といってもフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」(1665年?)ではないでしょうか。所蔵しているマウリッツハイス美術館に行き実物を観に行きました。
平日というのにこの絵の前は人だかりです。第一印象は小さい! 44.5㎝ x 39㎝です。オランダのモナリザと言われていますが、モナリザのほうがはるかに大きい。しかも絵全体がひび割れています。絵の真正面に立っても、斜めに立っても少女に見つめられています。わたしにとってはターバンのほうが首飾りより目立つので「青いターバンの少女」のほうがぴたりとします。
アムステルダムに移動してアムステルダム国立美術館巡りをしました。やはりフェルメールの代表作である「牛乳を注ぐ女」(1657年?)です。大きさは「真珠の耳飾りの少女」ぐらい。翌月に上野の森美術館で展示されましたので、多くの日本人が実物を鑑賞することができました。
この美術館にはレンブラントの「夜警」(1642年)も収蔵されています。
江戸時代の長崎・出島の模型がありました。
日本並みにコロッケが庶民の味として普及しているオランダ。オランダ語ではKroketクロケット。カフェで注文しました。隣りで食べていたオランダ人?はコロッケを潰してパンに塗って食べていましたが、日本のコロッケより塩味が強いのでパンに合う感じがしました。
アムステルダムにはゴッホ美術館もあり、ゴッホの絵画を堪能できました。帰国便は出発便と逆の経路だったのですが、飛行機が遅れフランクフルトで乗り継ぎができず、フランクフルト→仁川→千歳で帰国しました。千歳空港国際線ターミナルを初めて利用したことになります。