• 再診・新患予約・お問い合わせ
  • 0112067663
  • 平日9:00~12:00
  • 新患予約・お問い合わせ
  • 0112067688
  • 平日13:00~17:00

海外活動報告

海外活動報告

伊太利、仏蘭西病院紀行
(2007年6月11~14日)

わたしにとってイタリアやフランスの医療状況は未知といってもよい状態でした。
今回の目的は、わたしの専門である人工股関節について両国の第一線で勤務する医師と情報交換し、自分の目で直接現場をみることにありました。
2007年6月11日(月)から6月14日(木)にかけて、5病院(イタリア;3、フランス;2)を見学し、複数の医師、スタッフと話し合いをしました。
それでは順を追ってここに記しましょう。
イタリア
Niguarda Hospital(ミラノ、http://www.ospedaleniguarda.it/ENG/)は公立病院で、そこに働くDr.Mario Rinaldiは日本の整形外科医と同じように、整形外科疾患一般と骨折などの外傷に対しての救急医療をしています。
わたしが経験したことがないような股関節骨折後の変形性股関節症に対して、骨折の治療と人工股関節手術を行っていました。
彼の経験では、30%から40%程度が臼蓋形成不全を伴う変形性股関節症です。
臼蓋形成不全がほとんどないアメリカやイギリス、ベルギーに比べて際立って多い数字です(わたしの経験では90%程度)。私立病院のInstituto Ortopedico Galeazzi(ミラノ、http://www.galeazzi-gsd.it/)は上肢の骨折にその名がついているGaleazzi医師の名前を遺族の了解を得て名乗っています。
初回人工股関節置換術と再置換術です。
初回手術では10cmほどのMISを行っていました。40歳の患者に対して、セラミックの関節面をもつモジュラス人工股関節を使用し(日本未輸入)、再置換においてもやはり日本未輸入のカップを使用しておりました。
ベナッゾ教授との回診は、わたしが北大に在籍していた時代を思い出せるもので懐かしく思えました。
フランス
フランスには公立病院と私立病院があり、前者をHospital、後者をCliniqueと呼ぶことが多いそうです。
Clinique de Cavallion(マルセイユ郊外)は私立病院でベッド数120。わたしが手術をしている小笠原クリニックと同じようにこじんまりした病院で、小さなスペースにも南フランス風家具が置いてあります。

パリではDr. Roland Istria(60歳)とDr.Fadi Aboufarah(50歳)の2人の医師と歓談しました。

ここで勤務しているDr. Christian Brocの診察室が海をイメージしているのがとても印象的でした。Hospital d'Aux en provence(マルセイユ郊外)は公立病院であり、ヘリポートと800ベッド以上ある大きな病院で手術室は11室あって朝8時から稼動しています。
この病院の医師Oliver Dufourはパリ・ダカール・ラリー出場13回のバイク野郎です。
Dr. Istriaは、アメリカ人医師の考え方や製品を評価しておらず、その偏見の強さがフランス人らしく、むしろ清々しさを感じました。

向かって左がDr. Roland Istria、右がDr.Fadi Aboufarah、後に小さく写っているのがエッフェル塔

感想
イタリア、フランスともに人口比でみると日本の4倍もの人工股関節手術が行われています。
実は、日本は医療先進国のなかで人工関節手術件数がかなり少ないのです。
日本人の変形性股関節症は先天的な臼蓋形成不全によるものが大多数ですから、患者数は決して少なくないはずです。人工股関節手術件数が少ないのは、わが国における医療側、患者側の人工股関節手術に対しての考え方が他国に比べて違いがあることによるものと推測します。
ベナッゾ教授は、手術のタイミングは鎮痛剤を必要とするぐらいの痛みになったときと話していました。
一方、わが国ではわたしを含めて鎮痛剤が効いている間は手術を避け、効かなくなってから手術をすすめることが多いようです。
鎮痛剤にしても決して副作用がないわけではないのですから、鎮痛剤を必要とする痛みに対しては手術を考慮していいのではないかと考えます。もちろん、これは患者さんの同意の上で成り立つことですが。
わたしが今まで関係したことのある、アメリカ、イギリス、ベルギー、イタリア、フランス、はインプラント先進国であり経験の蓄積があります。今後も機会あれば、今回のような事を行い、このサイトをご覧になっている方々に情報を提供したいと思っております。

全てのスケジュールが終了しパリのカフェで一休み