PDF-FD Therapy
PDF-FD療法
手術を回避し、股関節の痛みを軽減する新たな選択肢
中高年に多い股関節の痛みの原因のひとつに、「変形性股関節症」があります。関節軟骨がすり減ることで痛みや可動域制限が生じ、進行すると日常生活にも支障をきたします。
従来の治療は、保存療法(薬物療法・リハビリテーション)と手術療法(人工股関節置換術)に大きく分けられます。しかし、手術を避けたい、あるいはまだ手術の適応ではない患者さんにとって、新たな選択肢が求められていました。
こうした背景のもと、石部基実クリニックではPDF-FD療法(Plasma Derived Factor-Freezedry凍結乾燥血漿由来因子)を導入し、手術を行わずに股関節痛の軽減を目指す治療を開始しました。
PDF-FD療法とは何か
PDF-FD療法は、患者さん自身の血液を利用した再生医療の一種です。
血液から抽出した成長因子を濃縮・加工し、関節内に注入することで、炎症の抑制や組織修復を促進します。
この治療の特徴は以下の通りです:
- 自己血液由来で安全性が高い
- 日帰りで実施可能
- 身体への負担が少ない
- 手術を回避できる可能性がある
成長因子による修復促進

PDF-FD療法には複数の成長因子が含まれており、それぞれが組織修復に関与します。
8つの主な成長因子:
- PDGF-AA、-BB(血小板由来成長因子AA、BB)
- TGF-β(β型変異増殖因子)
- VEGF(血管内皮細胞増殖因子)
- IGF-1(インスリン様成長因子1)
- EGF(上皮細胞成長因子)
- FGF(線維芽細胞増殖因子)
- HGF(肝細胞増殖因子)など
これらが相互に作用することで、炎症の軽減や組織修復の促進が期待されます。
従来治療との位置づけ

股関節治療は一般的に以下のような段階で選択されます:
- 保存療法(薬・リハビリテーション)
- PDF-FD療法(再生医療)
- 手術療法(人工股関節)
PDF-FD療法は、保存療法と手術の中間的な治療として位置づけられ、特に以下の患者さんに適しています:
- 手術をできるだけ避けたい
- 痛みを軽減したいが日常生活は維持したい
- 初期〜中等度の変形性股関節症
治療の流れ
処置は短時間で終了し、日帰りでの治療が可能です。
効果と注意点
効果には個人差があります。重度の変形がある場合は人工股関節手術が必要となることもあります。
デメリット
- 効果、持続期間に個人差があります(1か月~1年)
- 採血後から注入まで時間がかかります(2~3週間)
- 社会保険や国民健康保険制度を受けられない自由診療です
股関節に対してのPDF-FD療法の注意点(重要)
- 股関節内注射は非常に難しい注射です。超音波やレントゲン透視をしないで(触診のみで)股関節内注射を行う際の成功率は60%前後と非常に低いです。ひざ関節や肩、肘関節に対しての注射と比べてかなり難度が高い注射です。わたしは股関節を数多く診てまいりましたが、さらに当クリニックにおいては股関節内注射を超音波ガイド下で行うことにしました。
- 股関節に対してのPDF-FD療法、あるいはPRP療法(PDF-FD療法よりも成長因子の量が少ないが調整は容易)の報告は非常に少ないのが現状です。いままでの報告では、
- ヒアルロン酸注射群に比べ、投与後24週間の疼痛改善は有意に良好。
Effectiveness of platelet-rich plasma in pain management of osteoarthritis with developmental dysplasia of the hip: a double-blind, randomized controlled trial(J Hip Pres Surg 2025) - ヒアルロン酸注射群に比べ、注射後6から12ヵ月でPRP療法の方が有意に良い傾向。効果持続期間は6~12ヵ月
Orthobiologic injections for hip osteoarthritis: A systematic review of clinical outcomes (Orthopedic Rev 2025) - ランダム化比較試験を行った5研究を解析した結果、すべての研究で痛みの軽減と機能改善を認め、重篤な副作用は報告されなかった。16週から12ヵ月まで効果があった。
Efficacy and Safety of Platelet-Rich Plasma (PRP) Intra-articular Injections in Hip Osteoarthritis: A Systematic Review of Randomized Clinical Trials(Cureus 2024)
- ヒアルロン酸注射群に比べ、投与後24週間の疼痛改善は有意に良好。






