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海外活動報告

海外活動報告

アルプスの少女

2026年9月21日、オーストリアのインスブルックで大学病院を視察しました。人工股関節手術の見学に加え、朝のカンファレンスへの参加や病棟の見学を通して、現地の診療に触れる機会を得ました。

アルプスの山々に囲まれた街

インスブルック(Innsbruck)は、アルプスの山々に囲まれた歴史ある街です。1964年と1976年には冬季オリンピックが開催されました。写真1はインスブルックの位置を示した地図です。街中からも山々を望むことができ、雄大な景色が目に飛び込んできます。

写真1

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大学病院の整形外科と外傷外科を視察

今回訪れたのは、チロル・クリニケンのインスブルック大学病院の整形外科・外傷外科部門です。

写真4

現地で伺ったところ、年間の人工股関節手術は約400件、再置換術は約170件とのことでした。
インスブルックは、人工股関節手術の低侵襲な直接前方進入法(DAA)の発展に関わってきた拠点の一つです。DAAは、股関節の前方から筋肉の間を通って関節に到達する方法で、現在は世界各地で行われています。
人工股関節の進入方法には、それぞれ特徴がありますが、現在では臨床成績、合併症発生率に差がないことが明らかになっています。重要なのは、術者がその手技に習熟していることです。
案内してくださったのは、股関節・骨盤チームを率いるDavid Kalvoda医師です。56歳のチェコ出身の先生でした。

写真5

院内ではドイツ語が使われていますが、わたしとは英語でのやり取りです。お互いに言葉を選びながらの会話に、かえって親しみを感じました。

午前7時からのカンファレンス

朝は午前7時からのカンファレンスに参加しました。週末に受診・入院した患者さんや、手術を受けた患者さんについての報告がありました。参加した医師は約50人。さらに医学部の学生十数人が、立ったまま熱心に聞いていました。
報告されたのは主に骨折の症例で、全部で30例以上ありました。同院は地域の救急医療を担う大きな病院で、視察中にもドクターヘリが飛来していました。

人工股関節手術の見学

カンファレンスの後は、Kalvoda医師の手術を見学しました。

写真6

手術フロアには12室の手術室があり、今回は初回の人工股関節手術を2件見学しました。
手術は、Kalvoda医師、助手の医師、助手を務める医学部の学生、器械出し看護師の4人で行われました。

写真7

直接前方進入法を用い、患者さんは仰向けの姿勢です。牽引台は使わず、手術中にX線画像で確認していました。皮膚の切開は約10cm、手術時間はおよそ1時間でした。写真8は術前のX線画像、写真9は人工股関節を設置した後の術中X線画像です。

  • 写真8

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手術室に窓があることも印象的でした。外の光が入り、開放感があります。

写真10

患者さんの昼食を体験

手術の後は、控室で昼食をいただきました。冷凍食品を電子レンジで温めたもので、Kalvoda医師に伺うと、患者さんにも提供している食事とのこと。3種類から一つを選び、スープが付くそうです。

写真11

写真11の左から、チキンのパプリカシチューとニョッキ、マカロニのトマトソースがけ、ビーフシチューとマッシュポテトです。
海外の病院で患者さんの食事をいただくのは、わたしにとって初めての経験でした。味付けは少し濃いめで、炭酸飲料が欲しくなる味でした。食後には、Kalvoda医師がアイスクリームを差し入れてくださいました。

病棟と外来を見学

昼食後は、院内を案内していただきました。整形外科・外傷外科の病床は120床とのことでした。病室や患者さんが過ごすスペース、外来、救急の設備を見学しました。

写真12 2人部屋の病室。窓からはアルプスの山々を望めます。

写真13 1人部屋に備えられたバスルーム。

写真14 談話室には、患者さんが無料で利用できる果物と飲み物が用意されていました。

写真15 外来の診察室。

写真16 救急救命室。

旧市街を散策

病院視察の合間に、インスブルックの旧市街も散策しました。歴史ある建物の向こうにアルプスが見える、印象的な街並みです。

写真17 黄金の小屋根

1500年に完成した、インスブルックを代表する建物です。神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世が、広場で行われる祭りや馬上試合を観覧するために使ったとされています。

写真18 凱旋門

1765年、後に皇帝レオポルト2世となる大公の結婚を記念して建てられました。

写真19 聖アンナの記念柱

1703年に侵攻してきたバイエルン軍からの解放を記念する柱で、マリア・テレジア通りに立っています。

写真20 チロル風グレーストル

ゆでたじゃがいもに、肉やベーコン、玉ねぎを合わせて香ばしく炒め、目玉焼きをのせた郷土料理です。親しみやすい味で、ご飯にも合いそうだと感じました。付け合わせのキャベツのマリネは酸味があり、口の中をさっぱりさせてくれます。

視察を日々の診療に生かす

今回も駆け足の海外病院視察でしたが、手術だけでなく、朝のカンファレンスや病棟の環境、患者さんの食事まで、現地の医療に触れることができました。海外の病院を訪れるたびに、新たな刺激を受けます。今回の経験も、日々の診療に生かしていきたいと思います。

タイトルにまつわる余談

今回のタイトルは「アルプスの少女」です。アルプスと聞くと、1974年にテレビ放送された「アルプスの少女ハイジ」を思い浮かべる方が多いかもしれません。わたしの頭に浮かんだのは、麻丘めぐみさんが歌った、1973年発売の「アルプスの少女」でした。
作詞は千家和也さん、作曲は筒美京平さん。イントロのホルンの音色と、「ヤッホー」という掛け声が印象的な曲です。インスブルックに着き、アルプスの山々を目にした途端、懐かしいメロディーが自然と浮かんできました。ご存じの方はいらっしゃるでしょうか。